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年末記事コメント欄より、昨年国立競技場問題でお茶の間を賑わした建築エコノミスト森山さんのコメント転載します。(「住まい手の立場から住宅を考える」の掲示板に毎年書き込みくださるのですが、plalaの仕様変更で、昨年より掲示板の情報が表示されなくなってしまったので、ブログコメント欄へ書き込み頂きました。)。(以下引用)
久しぶりに「住まい手の立場から・・・」のBBSに書こうと思ったんだけど出来なかったからコメントしときます。 2016年・平成28年来年の干支は丙申(ひのえさる)その意は、丙(ひのえ・火の兄)広がっていくこと、カタチが決まる。申(さる・木々の枝が伸びる様)伸びるツクリでもありますよね。つまり、「燃え広がる伸びる」です。今年の波乱がさらに広がります。 10干12支は60年で一回りするので60年前のことを観れば様子がわかります。1956年の建築界では、ヴェネツィアビエンナーレ日本館(吉坂隆正)松井田町役場(白井晟一)石橋文化センター(菊竹清訓)郵政庇ビル薬師寺厚が建築学会賞。前年の「原爆堂」に続き「縄文的なるもの」で白井大ブレイクした年です。 その60年前の1996年はジョアサイア・コンドルにより岩崎邸が完成、辰野金吾による日本銀行、日本で最初のシャッター(クラーク・バーネット社製)が日銀本店に取付けられる。道庁赤レンガ庁舎(平井晴二郎)、大審院庁舎(ドイツのエンデ・ベックマン事務所)、日本で建築家の職能が確立し、日本人の手による近代建築が次々と建っていく、いってみれば戦前にあった日本近代建築が建て揃ったような頃ですね。ということは今年何かを成し遂げた場合には、それで終わりではなく、さらにガンガン広がるということです。 それではよいお年を (引用終わり) 森山さん、明けましておめでとうございます。毎年恒例の予言ありがとうございます。コメント欄では地味すぎるんで、こちらに貼り直しておきました。今年は丙申は、「燃え広がる伸びる」ですか。60年前事例をみると、白井、吉阪といった、反主流派に注目が集まる感じがよいですね。 これは現代に置き換えると、どんなことなんですかね。昨年、競技場問題では、日本最大級の設計事務所が、できもしない設計条件をそのまま放置し、計画が頓挫するという前代未聞の事態がおこりました。有名な海外のスター建築家が、コストも技術も考えない、その上格好も良くもない設計をしました。杭問題では、区分所有法などという怪しげな法律によって裏付けられていた資産としてのマンションが完全に終わりました。つまり、会社の規模、知名度、法律などで権威付けられていたものの化けの皮がはがれた1年であったといえるんでしょうね。 公共もない、大型開発もオリンピック以降はない、マンションもない、建築家の価値は下がる、建築雑誌は売れない、となれば、業界の人たちは元気もなくなるというものですが、逆にいうと昨年は、「建築の垣根が取り払われ風通しが良くなった年」という風に前向きに捕らえることもできるんじゃないでしょうか。森山さんの活躍で、意味のない公共事業、でたらめなコンペ、実現不可能な設計、形だけの監理、みたいなものが全部表に出てきてしまった。「建築」と、その影にひっそりと隠れていた「建築設計」を森山さんがワイドショーの話題になるまで、引きずり出してきてしまった年でもあったんじゃないですかね。 で、その流れで考えると、「燃え広がり伸びる」べきなのは、建築設計に対する不信感を払拭する「建築設計の新しい形」になるんじゃないでしょうか。「一人の建築家のイメージを実現する」というザハ競技場みたいな設計の形ではない、また、「出来上がった設計に味付けする」という隈競技場のような形でもない。「設計のプロセス」を全部オープンにして可視化して、建築、インテリア、土木、不動産、プロダクト、金融、アートを、意匠、環境、構造、設備、積算を、新築とリフォームを、ハードとソフトを、それらを一度等価に並べて再編集し、外部のいろいろな影響を受けながら、技術・家庭レベルのわかりやすさで、 ダイナミックにまとめていく形。でも皆が民主的に参加するワークショップ的なぬるいものではなく、もっと直感的で芸術的で攻撃的な設計スタイル。 といっても書きながら考えてるわけで、笑、答えが見つかっているわけではありません。まあ、「設計のプロセス」を全部オープンにして可視化していく、 うちの事務所のやり方はおそらく時代的には正解だと思うので、アレグザンダーのセンタリングプロセスでも研究しながら、今年は新しい設計のスタイルをみつけだしていきたいと思います。てなわけで今年もよろしくお願いします。
by iplusi
| 2016-01-04 01:30
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