設計コンセプトのつくり方
ウィキペディアによると、「作者がその作品に込めた意図・意匠・目的・思い等の概念」を「作品のコンセプト」というそうです。建築に置き換えて、簡単に言えば「設計主旨」のことですね。

建築というのは、他の芸術と違って、クライアントに設計主旨を説明する義務があります。では、どうしたら設計主旨を説得力を持って説明できるのでしょうか。

まず、建築は、何らかの目標があって建てるものですから、「問題→その解決」という形で説明するのが一番わかりやすいのかと思います。例えば「二世帯同居だとプライバシーが保てないから、完全分離の二世帯にしました」なんていう具合です。

でも、例えば、「緑の多い恵まれた自然環境の中に建てる」なんていうケースを想定した場合、「落ち葉で樋がつまる」といったマイナス面を解消するだけでなく、「恵まれた環境を生かす」というプラス面を考える必要があります。プラス面を考えれば、「分棟にしよう」とか、「バーベキューが出来る半屋外スペースを作ろう」とかいう解が出てくるわけですね。問題点だけ考えてるのでは、楽しい建築にならないのです。ひとつの前提条件をプラス面とマイナス面、両方から考えていくのがよさそうです。

また、まことちゃんハウスではないですが、建築としては面白いけど、近所の人は大迷惑なんていう建築は悲しいので、町の中の建ちかたなんていうことも気にする必要があります。
さらに、もっと広げて、社会の中での住宅なんていうことを考えれば、企業利益のためにつくられた商品化住宅はいいんだろうか?なんて疑問も現れてきます。

そんな風に、いろいろな視点で客観的に建築を眺めた時、どんな水準でもプラスマイナス両方から、きちんと説明可能な建築というのは、「コンセプトがしっかりしてる建築」といっていいのかなと思います。
設計コンセプトのつくり方_d0017039_1135113.jpg
今日一日、いろいろ考えた結果、こんな表ができました。これを埋めていけば、いろいろな読み取りが可能な優れた建築ができるような気がしてるんですが、いかがでしょうか。

→前提条件を整理し、問題を設定する
→案をつくる
→「問題解決」または「価値創造」という尺度で案を評価
→上記マトリックスを万遍なく埋める
→埋まらなければ、前提条件を再整理、または目標・方針を再設定


というような流れでコンセプトを考えてゆくわけです。最上段は埋められないかもしれませんが、少なくとも、最下段しか埋まらないなんていう建て方は避けたいものです。
by iplusi | 2011-10-10 21:30 | その他いろいろ
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