構法スタジオ1-スパン表による梁寸法決定法
法政大学 構法スタジオ(建築施工監理実習)、飯塚担当グループのみなさんへ。
金曜日の演習問題の解答および補足説明を書いておきます。なお、各案の違いがはっきりわかるよう、建物ど真ん中の柱は抜きました。コーナーの丸のついた柱は通し柱を示します。2階床で、荷重は等分布で180kg/平米とします。
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a梁スパン表「単純梁-床-スパン3640-負担幅910」を読んで120*210です。
b梁: スパン表「単純梁-床-スパン3640-負担幅3640」を読んで120*330です。両側から大入れ蟻掛け で梁が欠かれるので、断面欠損を考慮すればもう少し梁せいは大きくなります。
c梁:スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅1820」を読むと、105角となりますが、a梁とc梁の接合部は、大入れ蟻掛け になり、a梁よりc梁が小さくなるわけにはいかないので、最低でも120*210となります。プレカット屋さんなら、ワンサイズ(30mm)上げて120×240程度にすると思います。
d梁:材が7.28mになるので、4m材とすると、途中一カ所継ぎ手が発生しますが、ここでは、スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅455」を見ておけばよいと思います。結果、45*90という小さな材でもつことになりますが、この大きさでは柱が飛び出してしまうので、最低120角程度の材を入れることになります。2階外周の梁(胴差しと呼びます)は構造的に大事なので、c梁同様、プレカット屋さんなら120*240程度の材を入れると思います。
ところで、b梁を330、d梁を240とすると、b梁はd梁より大きくなってしまいます。が、ちょうどこのモデルでは、梁同士がぶつかる所に柱が建ってるので、「柱もたせ(大入れもたせ)」という仕口で処理可能です。
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片方の3.64mグリッドの梁方向を変えたパタンです。
e梁:スパン表「単純梁-床-スパン3640-負担幅2275」で、120*270です。
f梁:スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅1820」で、105で足りますが、120*210梁を受けるので、120*240がプレカット屋さんの標準です。
g梁:「連続梁-床-スパン1820-負担幅455」で45*90でいいことになりますが、f梁と梁せいが変わるのは、構造的にも意匠的にも美しくないので、120*240でいいと思います。
h梁:これも、「連続梁-床-スパン1820-負担幅455」で45*90でいいことになりますが、外周梁なので、プレカット屋さんだと120*240くらいとなります。
i梁:スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅1820」を読むと、105角となりますが、a梁を受けるので、プレカット屋さんの標準だと120*240です。
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j梁:スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅1820」で、105で足りますが、120*210梁を受けるので、120*240がプレカット屋さんの標準です。
k梁:スパン表「連続梁-床-スパン1820-負担幅455」で、45*90で足りますが、外周梁なので、120*240がプレカット屋さんの標準です。門型構造を強調する意味で、a梁とせいを合わせ、120*210にして、中央の柱を抜いても良いと思います。
このとき、j梁とk梁はせいが異なっていますが、コーナーは通し柱で柱勝ちになるので、梁せいが変わっても問題ありません。

このモデルだと、一番大きな梁でも210ですから、天井を張る場合は、一番上のモデルより120天井高を高くできます。また、一番上のモデルの梁のたわみは、a梁とb梁の和になりますが、ワンウエイに梁が並ぶこのモデルでは、a梁のたわみだけになりますから、床の変形が小さくなります。

意匠的にも並びがシンプルできれいなので、梁を露出する場合は特に、こっちのモデルの方がいいと思います。
by iplusi | 2011-09-17 11:39 | 構法スタジオ
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