「間取り」よりも大事なこと
白井T邸、下駄箱前に引き込む建具、クロゼット建具などが取り合う部分について、平面詳細・展開を書いて、壁の見せ方について検討。ドアの高さで腰壁を張るのは和風ぽいのでやめ、クロゼットの開口部を大型の家具のようにみせる方法を考えています。
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ところで、展開図というのは、非常におろそかにされやすい図面です。「積算にしか使わないから書かない」という設計事務所・工務店が大部分のはず。でも、部屋の中で一番目に入りやすいのは床よりも壁・天井ですから、平面図書いてる暇があれば、展開図・天井伏図、書いた方が効果的です。同様に、外観では立面図が平面図より重要になってくるのは言うまでもありません。

でも、大学の建築学科は、ほぼ平面図の書き方しか教えません。社会に出ても、最初に平面書いて、立面とか展開とかは、平面のつじつま合わせで書く、という習慣が染みついています。外観はおまけの扱いですから、整った町並みなど出来るわけがありません。戦前の建築と今の建築を比較してみれば一目瞭然で、設計事務所でも、工務店でも、ハウスメーカーでも、外観の検討が不足しすぎてるのです。

建主さん側にも問題はあります。みなさん一番の興味は、間取りづくりと設備機器えらびと建物の諸性能の確保かなあと思いますが、これって、美的センスをほとんど必要としない作業ばかりですよね。デザインしなきゃいけない人に、デザインは頼まないで、計算、選定、調整、金勘定、ばかり頼んでいれば、設計者側のカタチや空間の検討作業がおろそかになるのは当然ですね。

ということで、間取り、機器、性能はしばらく横においておいて、今日から、外観、空間、素材、壁・天井のデザイン、に注目し、要望を出してみましょう。建築家、デザイナーが一番力を発揮するのはそういう部分です。極端に言えば、「外側からカタチを決めて、間取り、機器、性能は、後でつじつまをあわせしましょうよ」と設計者に提案すればいいんです。
by iplusi | 2009-08-02 11:11 | 白井T邸
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