カテゴリ:伊賀の家( 3 )
伊賀の家03案 「群造形へ」
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伊賀の家03案では、切妻系の建築3棟で中庭を囲む構成を提案しました。1つづつの建築は切妻の非常にオーソドックスなものですが、複数の建築を明確な意思を持って「建築群」として配置すれば、魅力的な風景や快適な屋外空間が生まれてくるのです。
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3棟建ての構成は次のようなプロセスから導かれました。

敷地は古い既存の民家(ピンク色の部分)、工務店の社屋、倉庫(クリーム色の部分)に囲まれた一角にあります。敷地は宅盤が2枚で粗造成されており、相互は1m弱の高低差があります。敷地へは道路(水色)から斜面を斜めに上るように低い方の宅盤へアクセスします。

一方、社長の家となるメインの2階建ては、HEAT20を意識したエコ住宅にする予定なので、方位には正対させたいところ。低い方の盤だと背後が無駄に余るし、既存社屋の日影になってもまずいので、メイン棟の配置は、自動的に黄色の位置になります。しかしこの配置だと、土地は無駄に余るし、せっかく眺めがいいのに本社屋、倉庫の壁面眺めて過ごす関係になります。
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そこで、メイン棟、セミナー棟に、東屋棟を一軒加えて3棟分棟形式とし、正五角形の中庭を囲むように、アプローチの園路と建物を72度づつ振った角度で、渦巻き状に並べててみました。渦巻き構成で人が自然と集まってくるようなイメージです。東屋棟は既存本社屋と平行なので、バラバラに見えていたメイン棟と本社屋を幾何学的に関係づけられます。本社屋と倉庫は、建物と樹木である程度隠せます。

今後開かれるであろう、木工教室、マルシェなどの利用を考えると、屋根付きの外部空間=東屋棟は非常に有効です。先日の榊住建視察を踏まえて考えると、イベント開催時は、むしろ内部化された施設より多用途で使えそうです。
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3つの施設は、外部空間→半屋外→内部という具合に徐々に内部化して心理的な敷居を下げ、人が入りやすい雰囲気を作ります。また、視覚的にも平屋→高台平屋→高台2階建てという具合に徐々に高さを増し、渦巻きの流れを強調します。アイレベルでみた場合、真ん中の平屋を中心に両ウイングが放射状に配置された感じになるので、コの字配置の時よりパースが強調され、ダイナミックな風景になります。

既存の町並みや自然環境と調和した美しい風景をつくる、最も簡単で最も重要な方法は、地域の特性を意識した「勾配屋根を架けること」です。ほとんどの住宅設計の現場では、設計するとき間取りから始めますが、風景としての建築を考えるなら、まず考えるべきは屋根と架構、またその配置です。

ともかく「屋根、架構、中間領域」で建築のシルエットを外側から決めるのです。間取りを考えるのは後まわし。今回はその王道のやり方を実践しています。


by iplusi | 2016-11-27 12:21 | 伊賀の家 | Comments(0)
伊賀の家プロジェクト
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伊賀の家プロジェクト02案。30坪の2階建ての01案はやや手狭、というご意見をいただいたので、分棟形式で平屋の付属棟を併設する形をご提案しました。2棟はそれぞれ庭側に縁側的な空間を持ち、庭をへの字型にゆるく囲む形式。バーベキュー、マルシェ、サークルなど、様々な活動が展開できるような設えです。敷地は少し小高くなっていますので、こんな風に2棟を角度をつけて配置すれば、意匠的にもダイナミックに見えるし、周辺の屋根の風景とつながりが意識できるようになるはず。
by iplusi | 2016-11-02 15:56 | 伊賀の家 | Comments(0)
伊賀の家プロジェクト
新しいプロジェクトが始まりました。今回のクライアントは一般のお客様ではなく、三重県伊賀市の工務店「森大建地産」。弊事務所としては、はじめての完全BtoBです。設計するのは森大さんの将来を方向付けるプロトタイプ住宅。間取りの方程式に基づく、間取りづくりのセオリーは積極的に反映しますが、私たちの普段のデザインテイストよりも、「伊賀ならでは」を優先して、豊かな風土性を感じさせる「民家」のような佇まいを持たせたいと考えています。つまりプロトタイプといっても、目標とするのは「地域の固有種」。ハウスメーカー的、「全国一律の標準設計」の「真逆」を目指しているわけです。でも、伝統木造のような「希少種」路線には持っていきません。庶民の手の届く、普通に生活しやすい高性能住宅というラインは外さないように計画します。
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敷地は大体このあたり。絶景ですね。古い民家の奥には、忍者が修業した?山並みが広がります。
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道路と敷地の間には小川が流れています。伊賀の街中はハウスメーカー的住宅も多いのですが、この敷地周辺エリアは、こんな感じに、切妻の古い民家が固まって建っており、工務店風はあっても、ハウスメーカー風は意外とありません。風景が絵になるのは、そのおかげです。
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小川にかかる橋は、なんと「丸鋸の歯仕上げ」。恐ろしく巨大なんですが、石切り用の丸鋸ですかね?
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エリアで一文古い民家は、森大社長、森さんの実家。築150年だそうです。
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板塀と石積みが美しいですねえ。
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蔵もあります。押縁が少し太めの押縁下見(ささら子下見)の木外壁がこのエリアの特徴ですかね。
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森大さんの本社屋は広い敷地に建っているので、倉庫や作業場も充実してます。ここは下小屋ですが、手前側には各種工作機械が設置されており、何でもつくれそう。
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資材も倉庫にたっぷり保管されています。これはその一部です。ということでリソースは完璧。来秋の完成を目指し、楽しく設計していきます。
by iplusi | 2016-10-18 12:56 | 伊賀の家 | Comments(2)