すべてがnになる
殆どすべての住宅で、物が置きやすく、プライバシーが保ちやすいということで、部屋という型式が採用されるわけですが、ドアをはずしてみれば、部屋とは所詮落ち着いた活動が出来る、単なるアルコーブにすぎません。

そこで、nLDKのnを「個人用の寝室」という風に考えず、「アルコーブ=個別な場所」と考えてみるとどうなるでしょうか。アルコーブだから、行き止まり感はあるけど、必ずしも四方を壁に囲まれている必要はありません。
この定義だと、10LDKの家は、1LDKのワンルームの家より明らかに多様で豊かです。ごく私的な活動(例えば読書)であれば、nの広さは、1畳ほどの広がりでも十分だから、nが多いからといって、家は必ずしも大きく必要になるわけではありません。
いろいろなコンディションで行われる多様な活動に対応できるように、広さ、明るさ、方位、素材が異なる複数のnが用意されることが望まれます。

さて、n、すなわち目的をもった複数のアルコーブが家の周囲に拡散していくと、家の中心に配置されていた、団らんという抽象的な機能しかもたないリビングは、ますますその存在理由が希薄になっていきます。次第に、家の中心は、水回り、階段といったものに取って代わられれ、そのうち、リビングは完全にプランから姿を消します。

水回りや階段といった、役物空間が家の中心に配置されると、もはや、どこのnをダイニングにしても、寝室にしても良くなります。アルコーブの使い方はすべて住まい手に委ねられます。居間や食事室を一般アルコーブと区別するのは、もはや意味がないから、nLDK型の住宅は、「8K」とか、単純にアルコーブの数だけで「8」とか呼ばれる形態に変化してゆくはずです。
by iplusi | 2009-09-29 23:07 | その他いろいろ | Comments(4)
Commented by arsnova-arch at 2008-09-23 20:12
なるほど~nLDKの良い解釈方法ですね
nの意味は自然数(natural number)あるいは整数 に値をとる、一つのあるいは任意の定数を表す(おもに小文字)ということらしい
自然数ですから、3.5LDKとか-4LDKというのはないわけです。
このn整数や有理数、無理数まで広げるとどういうことになるのかなと思いつきました。
ところで、本日はnさん邸のプランニングで悩んでいるときに良い意見を出してもらい本当に助かりました。
Commented by iplusi at 2008-09-27 01:12
森山さんと話をしているときに、年間10棟も建てない設計者が、nLDK批判なんかしてるのはちょっと変だなと思ったんですよ。批判してワンルームの住宅を100軒建てても、新しい建築の概念は生まれないですし、住まい手はワンルームの住宅なんかに住みたいとは思ってないんですよね。
Commented by arsnova-arch at 2008-10-01 08:47
ワンルームということだけでなく、計量的な視点と完全にアノニマスな空間理論は伝統や文化も含めた人間の感覚と矛盾しているということに気付いたわけですよ
Commented by まややん at 2011-02-18 02:40 x
はじめまして(^O^)

私の実家も10LDKの家で、クラスメートを呼んで良く隠れん坊してましたね。
親が離婚した後に次に住んだ家は部屋が2LDKの小さなマンションでしたね。
最初に見た時!正直「せまっ」と言ってしまいましたね(笑)
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