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スキップフロアについては今までまとめたことがなかったので、ここで一度整理してみました。
スキップフロアとは? 半階分づつずれながら連続する層構成のこと。レベル差のある複数の床をもつ建築物の層構成を、スキップフロアということも多い。 スキップフロアのメリット1-広く見せる ・フラットなときより、体感する気積量が増えるので、実面積以上の広がり感をつくれる ・吹き抜けを設けずに広がりをつくれるので、使える床を減らさずに済む ・ずれた床によって空間に変化や流動性がうまれる スキップフロアのメリット2-変化のある空間をつくる ・床レベル差によって、天井高が変化するので、空間の性格付けも可能 ・床のエッジができるので、空間に方向性が生まれる ・段差によって、落ち着き感、まとまり感のあるスペースををつくることができる。 ・ワンルーム空間を分節するときに有効、 スキップフロアのメリット3-視線の演出 ・視線が上方または下方斜めに抜けるなど、変化に富んだ視線が楽しめる。 ・ずらすだけで、高い天井高にしたときと同じ、見上げる視線が得られる スキップフロアのメリット4-光を導く ・ずれた床の間から光を導入することも可能 ・南側の階高を上げることで、家の奥まで光を導入することが可能 ・ダイレクトゲインで太陽熱を利用するときにも有効 スキップフロアのメリット5-無駄をなくす ・廊下がないプランニングが可能。狭小住宅の常套手段 ・アドルフ・ロースのラウムプランのように、空間を無駄なく活用できる ・階段吹き抜けを小さくすることが可能。 スキップフロアのメリット6-法規をかわす ・1種高度などの厳しい斜線を、階高の変化でかわすことができる ・防火地域、準防火地域では、ロフト付き2階とすれば、要求される防火のグレードをワンランク下げられる スキップフロアのメリット7-活動を促す ・ずれた床が住まい手同士の間に適度な距離感をつくる ・段差が活動を促す(アフォードする)ことが期待できる ・すわれる場所、たたずむ場所が家の中央にできる ・例えば縁側のように段差がコミュニケーションを生み出す契機となる スキップフロアのデメリット・課題 ・空間把握が困難。模型なしだと建主さんはまず理解不能。 ・木造住宅だと設計も施工も非常に困難。RCでも打ち継ぎなどが問題となる ・もともと空間のつながりを持たせる構成手法なので、部屋数の多いプランには対応しにくい ・遮音がしにくい ・歳をとったときしたときに、上り下りが大変と言われることもある ・エレベーターが設置しにくい。(設置するときは通過型のエレベーターに限る) ・昔からある形式ではないので、家相は謎 導入を検討すべきケース-都市部や傾斜地に ・傾斜地に建てるケース ・半地下地下室があるケース ・駐車場(ガレージ)の上部を利用するケース ・床下収納や、小屋裏収納など、1階に満たない階高の部屋があるケース ・厳しい斜線制限がかかるケース ・準防火地域、防火地域制限がかかるケース ・狭小住宅のように規模が制限されるケース フラットで普通に建てた方が望ましいケース-平坦な別荘地などに ・ハウスメーカーの設計施工(設計に手間暇をかけられないケース) ・模型をつくらない設計者に依頼するケース ・敷地面積が広大で、平屋建てが望ましいようなケース ・身体的ハンデがあったり、車椅子の利用がはじめから想定されるケース ・大型物品の出し入れなどがあるケース(店舗付き住宅など) ・空間の連続性よりもプライバシーの確保がが要求されるケース スキップフロアの事例 ・アドルフ・ロースの住宅、ポール・ルドルフの住宅、アルバー・アアルトの住宅、土浦亀城自邸 ・・・etc スキップフロアで計画する今日的意味 ・6/20改正以降、法規的にもコスト的にも3階建てはつくりにくくなってくるが、4号で済むスキップ2階、ロフト付き2階は、デザインの可能性が充分残されてる。 ・ラウムプラン型建築は、伝統建築にはない型式なので、まだまだ、やられていないことがたくさんあるはず。バリアフリーという標語によって失われた空間の魅力を復活させたい ・通常、間取りを考えるときは「平面」で考えているが、「断面」で間取りを考えれば、スキップフロアの構成が自然と導かれることが多い。むしろ、法的に様々な形態制限がかかったりするときは、フラットな構成にする方が強引である可能性もある。 カツドウノイエシリーズ=スキップフロアの家というわけではないのですが、建主さんの要望もあって、アイプラスアイでは、ほとんど全部の住宅にスキップフロアを採用しています。 (つづく)
by iplusi
| 2007-07-29 21:59
| その他いろいろ
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