一方多摩N邸は
d0017039_22541839.jpg市街地に建つ浦和S邸が中庭を内包する、内に向かう持つ守りの構成なのに対し、郊外に建つ多摩N邸は、外に向かって開ききった攻めの構成。
デザインのボキャブラリーも、浦和がデザインの痕跡を感じさせる濃いめのデザインなのに対し、多摩は列柱以外は恣意的にみえないように、さらっと即物的にまとめています。南側の立面は、巨大な開口部、小波板の壁、列柱の3つ以外は一切デザイン要素なし。工業製品(建主Nさんによるとコンテナor冷凍車)のような、男らしい建築。

d0017039_2255828.jpgこれが列柱部室内側からのながめ。カーブミラーが少々目障りですが、外の緑は大体が桜。家の中から花見が出来ます。左側のサッシはワイド3m、H2.4m。住宅用サッシの最大寸法です。窓台が40cmちょっと上がっていて、約2.9mの天井高いっぱいにサッシが納まっています。
右側のサッシは一昨年あたりから住宅用断熱サッシのバリエーションに加わった、3本レール3枚引きのサッシ。南デッキ側は大きく開けたかったので、このタイプのものを使っています。

d0017039_2256232.jpg工事がしばらく停滞していたのは、断熱工事でトラブルがあったため。大工はもとより設備、電気関係他、工事に関係するすべての職方が、その断熱工法を理解していないと、完全な断熱工事はできないという考えから、i+i ではいつも工務店が最も得意とする断熱工法を採用しています。今回もその流儀を守って、工務店が数百棟の実績をもつ現場発泡ウレタンを採用。断熱施工者は責任施工で、これまた実績のあるところが、いつも通りのやり方で施工したにも関わらず、予想外の収縮現象がおきました。

机上の計算ではどんな断熱材もうまくいくはずなんですが、現場では様々な問題が起こるのです。障害物があって断熱の欠損となるとか、パッケージされててても筋交いが邪魔で現場で切りつめなきゃいけないとか、職人が穴開けちゃうとか、そういう現場で起こり得る様々な問題を一通り見据えておかなくてはならないのが断熱の世界。ウレタン現場発泡はそのあたりのムラはないけど、ポリオール(主材)とイソシアネート(硬化材)の配合、その吹き方などは限りなく専門職に依存しており、施工時の温湿度、吹き付け対象物の状態によっても、断熱材の性質は変わってくるのです。このあたりはコンクリートが現場毎に品質がちがうという話に似ています。

ともあれ、この現場では性能的(壁体内結露、断熱欠損、気密)にみれば重大な問題とはならないけれど、隙間なく施工できるのが売りのウレタンに隙間が出来たんじゃ、そもそも論としてウレタンを使う意味がなかろうということで、一度張った壁天井大胆にはがし、吹きつけをやりなおしました。結果的に断熱は設計仕様より強化されることになりましたが、建主さんには多大な心理的不安をおかけしました。反省です。

ウレタン現場発泡は責任施工分野なので、監理といっても特記仕様書に記述するとかくらいしかできないのが難しいところ。ただ、今回の一件でウレタンは吹き付けてからしばらく様子を見た方がいいということははっきりしました。ウレタンの一次収縮は吹き付け後24~48時間以内くらいで出るというのが定説だったのですが、ウレタンの状態によってはより長時間かけて出る可能性があるようです。

ウレタンは今後フロン系から水発泡系に移行していくらしく、こういう問題が起こるとすぐ水発泡系の新製品に目がいくことになるのですが、これについても今は良いことばかりが強調されているようです。問題点(付着性の弱さなど)が一式整理されるまでは、充分実績のある断熱材を使った方が無難かと思います。

d0017039_225735.jpgさて、話変わって、これは建具に使う予定のバーチ合板。材料が混ざるのが気になっていたのですが、天井のシナとも相性が良さそう。付き板の幅が広いので、繰り返しパターンも気にならないでしょう。このあまり見かけない合板は工務店が岐阜から取り寄せるんだそう。一方現場は今日からフローリングの施工。番匠塾出身の若くて元気のいい大工さん、断熱での遅れはすぐにリカバリしてくれると思います。
by iplusi | 2006-09-28 22:54 | 多摩N邸 | Comments(1)
Commented by 川崎H邸主人 at 2006-09-30 18:36 x
目障りなカーブミラー、こっそり抜いちゃいましょう(植え変えるとか)。あそこなら誰も気付かないでしょう(冗談、、、)

※でも、なんであそこにカーブミラーあるんだろう?(我、擁壁林立住宅地帯には皆無なのに、、、)
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