中野G邸竣工
d0017039_1811441.jpg中野区のG邸が無事引き渡しとなりました。昨年の9月中旬の契約ですから、i+i としては前例のないタイトスケジュール。写真撮ってる時間もなかったので、一部工事中写真でのご紹介です。

G邸の敷地は中野区の住宅密集地。極端な旗竿地で旗の部分は間口5.5m、奥行き13mで、正味22坪ほどしかありません。法規的にも新防火地域というローカルルールで2階建てでも準耐火建築が要求され、高度地区規制によって形態も厳しく制限されます。SS試験によれば、地盤も非常に軟弱です。

東も南も西も日のあたる方向はすべて、隣家が迫ります。狭い旗部にいじましくギリギリで建てれば、薄暗く日当たりの悪い家になるのは確実な状況。


もちろん、予算にも厳しい制約があって、都内、旗竿、準耐火、軟弱地盤という数百万単位のコストアップ要因がある中で、規模を小さくすることなしに、高気密高断熱、オーダー建具、オーダー家具、無垢床なども実現したいというご要望です。

唯一の救いは北側が小さな公園だったこと、そして、南側の隣家の屋根の北側が、高度地区規制によって、比較的低くなっていたことです。北側の公園と、南側の隣家の屋根の上の空間を結ぶと、空中に敷地を貫く軸線がひとつ想定できます。

この軸線の上に建物を重ねてやれば、住宅に光や風を呼び込み、閉塞感のある住宅密集地の中でも、開放的な空間にすることができそうです。視線も風も光も通り抜ける空中のオープンスペース、「視線の軸」。視線の軸を生かせるように、1階プライベート、2階パブリックという層構成が自然と選択されます。


d0017039_18121266.jpg旗竿の敷地延長部は実に19m。両脇には建て売り住宅が建ち並んでおり、G邸は道路からみても、南側のほんの一部しかみえません。しかし、逆に言うと建物のその部分は、住宅密集地では望むべくもない、19mのオープンスペースが前面に確保されているということになります。


d0017039_2113551.jpg敷地延長部を抜けると玄関土間。さらにその先は、昔の水路の跡地で、土足のまま通り抜けできるようになっています。いわば、視線の軸に直交する「動線の軸」。

旧水路は公共用地なのですが、Gさんの敷地から以外どこからもアクセスできない、いわゆる「死んだ空間」です。この通り土間を設けることで、旧水路が生きた空間として再生されます。バーベキューや家庭菜園、その他サービス利用など、様々なアクティビティが期待できます。

正面のサッシはガラスの引き込み戸なので、パンチングメタルの防犯引戸を併設する予定。

建主Gさんが選んだテラコッタの床は、不思議と和風な感じです。建物は高断熱仕様なので、この土間部も忘れずに断熱します。テラコッタの立ち上がりの断熱は実にやっかいですが、断熱モルタルにテラコッタ貼って逃げました。


d0017039_2194387.jpg2階の床はスキップフロアです。

写真は公園に面するダイニングから、南を眺めたところ。広幅員の4段の階段を上がった所はリビングで、さらにもう2段上ると、奥行き一間の屋根付きの外部テラスになっています。テラスの先は、隣地の屋根の上の空間。「視線の軸」の傾きが、床の高低差、天井の傾きとしてとして現れています。

2階の南側が高くして、逆に1階土間部分を1階標準部より下げたので、両者の中間には約8畳分ロフトが捻出できました。




d0017039_21434522.jpgこれが、リビングの下にある子供部屋。芯々2100程度の極小間口。できるまでどんな空間になるか心配でしたが、天井が高いので、狭さは感じません。ここから、ハシゴでロフトに上る予定。

子供部屋には土間から直接アクセスできます。忍者屋敷のような土間とロフト。そのうち近所の子供達のたまり場になりそう。

1階は、玄関土間→共用収納→子供部屋1→子供部屋2→玄関土間という具合に、階段まわりをぐるっと回遊できるようになっています。そして共用収納を通って、浴室に行けるようになっています。

2階は比較的簡単に決まりましたが、1階のプランニングは難航。4.55m、すなわち、たった2間半の間口を、こともあろうに、共用収納、階段、子供部屋で、3分割してしまうという最終解に到達するまでは、やはり10案程度の検討が必要でした。


d0017039_21125782.jpgロフトに上がった景色。原設計は四角いFIX窓でしたが、建主Gさんのご要望で丸窓に。懐かしのポストモダンテイストです。さらにこの左側にもロフトがあります。

d0017039_21303999.jpg収納もたっぷり。食堂横の飾り棚。低めの食卓にあわせて65cmに設定しました。手掛けは天板と扉を15mmほど透かし、扉の上部に彫りこみました。 勢いがあってなかなかよいプロポーション。

カウンターの天板は、ちょうど、階段4段分の高さと揃っています。

d0017039_2023195.jpgキッチンはいつもどおり、フルオーダー。今回はシナランバーで大工さんにつくってもらいました。

カウンターは、お店のように手元が見えない1100程度の高さ。台所内が片づいていなくても、あまり気にならないかもしれません。背後には家電なども来る予定。

d0017039_21155643.jpg居間収納もシナランバー。中間段はTVなどの家電類、下部には客用布団を入れられるようになっています。

家具類は建主さんのスケッチをもとに、飯塚がご要望を整理して図面化。窓の位置が変わったりしたことで、現場で再度検討します。この辺のしつこさが、出来を大きく左右します。

d0017039_19493413.jpgリビング側から公園方向を見返した景色。できるだけ多方向から光を導入するのは、カツドウノイエのテーマの一つ。内部は非常に明るく、住宅密集地であることは全く感じさせません。

右手の明るい部分は、ダイニングレベルにある、トイレの上部空間。小さなロフトになっていて、ここから屋根の上にも出られます。

d0017039_20244442.jpgこれが獲得された屋根上の空間。見慣れない景色ですね。なんとなく、雨の日に飛行機に乗って、雲の上に出るときの気分といったらいいでしょうか。

テラスは一間あるので、アウターリビングとしても利用できます。テラスに出て左手を見ると、19mの敷地延長部が見通せます。


隣地屋根上空間や、公園の借景、旧水路の占有、中間階の捻出、あまり意識しませんでしたが、設計の中で、この住宅で考えていたことは、どれも「住宅設計における未使用領域の空間化」ということだったのかもしれません。

by iplusi | 2006-04-15 18:14 | 中野G邸 | Comments(2)
Commented by 川崎H邸主人 at 2006-04-16 19:22 x
中野G邸、竣工おめでとうございます。

丸窓やグレイ色のガルバリウムは初挑戦ですね。

AV棚の下棚が「布団収納」。いいです(知らずに開けた人、びっくりするだろうなぁ)。

Commented by bonpata at 2006-04-16 21:39 x
一番反応してしまったのは……“丸窓”です。すみません、部分フェチなんです。そのロフト……。いいですねえ。
公園側から見た写真、この季節ならではの、レッドロビン(H邸ご主人も生け垣に採用された、ベニカナメモチ)の赤々とした新芽。すてきです。
<< 浦和S邸地鎮祭 「はてなアンテナ」 >>