水島昇研究室探訪
先日、中学高校の同窓会に参加したら、大学で先生をしている同級生が、研究室のレイアウトが行き当たりばったりで、あまりうまく使えていないと言ってたので、10/21見学に行ってきました。
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これが、その同級生、水島昇教授。略歴はこちら。先日ノーベル賞を受賞した大隅先生のお弟子さんにあたります。2013年に大隅教授と共に、細胞の自食作用=オートファジーの研究で、トムソン・ロイター賞を受賞されており、その後毎年、ノーベル賞受賞が噂されておりました。
今回、惜しくも大隅教授の単独受賞となってしまいましたが、水島君が世界的に有名な研究者であることは間違いのないところ。建築の仕事をする人間としては、どんな環境で世界的な研究が行われているか、非常に興味がありますので、見学に伺ったわけです。
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一緒に行ったのは、これまた同級生、ファンタジー営業部が有名な、前田建設工業設計部の森君。森君は自社オフィスのリノベとかもしている経験を踏まえ、いろいろアドバイスしてくれてます。ちなみにお嬢さんは、早稲田の生物医学系の研究室で勉強中とのこと。
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生物医学系の研究室はざっくりいうと、ラボとオフィスがくっついたもの。ラボのメインスペースである実験室はこんな風に机の上に棚がある形式。部外者がみると棚にはモノが雑然と並んでいますが、基本机の所有者が決まっていており、個人個人が管理しているから特に問題はないようです。机端部には、共用の遠心分離機などが置いてあります。
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実験室ゾーン内にも普通の事務机のスペースがあります。ちょっとしたパソコン作業とかはここでやるのでしょうね。水島研究室はラボとメインのオフィスが中廊下挟んでいるんですが、実験とパソコン作業をシームレスに行いたいことも多々あるでしょうから、本来はラボとオフィスはもっと密接に関係づけられた方がいいわけです。それも模様替え時ののテーマのひとつになりそうです。
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見慣れないものいろいろ。試験体を、ゆっくりゆらゆらと揺らす機械。
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こちらはラボ内ストックのゾーン。液体窒素でマイナス200度以下?で試験体を保管しています。液体窒素は1週間に一回くらい交換しなければならないそうです。
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滅菌装置。圧力釜みたいになってるんで、おそらく高温高圧にして滅菌するんでしょうね。ラボ内には、ほかにもいろいろ機器があります。
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1分間に数万回転の回るという超高速遠心分離機。
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これば試験体をスライスする機械。一種の旋盤みたいなもんでしょうかね。
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試験体に余計な菌がつかないようにする装置です。水島研の人たちは割烹着はもちろん白衣も着ていないので、あまり研究者風じゃないですね。研究室内は基本スリッパ履きで、かつぺたぺた系のシートでごみを吸着してから入室します。
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試験体のおさまる大型冷蔵庫。-60度くらいかな?。ストックスペース自体は多少余り気味なので、今は問題ないようですが、物自体が大きいので、狭ければレイアウトにも大きく影響すると思われます。
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発光する細胞を撮影するブース。暗幕もついて真っ暗にできます。研究室にとってはとても大事な部屋になりますね。
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ここから先は中廊下挟んで反対側のオフィスゾーンです。一般の大学研究室と特に変わりません。ここは院生スペース兼ゼミ室兼休憩スペースという感じの部屋。他の部屋とは仕切られているので音的な問題はありませんが、机や椅子もかなり密に配置されていて、かなり雑然としており、研究室というより「部室」という感じ。
壁側の机は本棚に机パーツをくっつけるスタイル。ちなみに、我々が見ると机下が死んじゃうのこの机配置は気持ち悪いけど、実験室的の棚付きの机に慣れているので、水島研の人たちはそんなに違和感感じてなさそうでした。
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一方、助教や院生のスペースは、机の脇にキャビネットを置いてプライバシーを強調するスタイル。普通の家具の組み合わせだと、これまた机下がデッドになりがちなレイアウトですね。通路は必要以上に広く、スペースの使い方としては、ゆったりしすぎの感じ。いずれにせよ、壁向いて作業するのは良くないなあと森建築士。
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非常に整理されている人がいる一方で、昭和の新聞記者みたいな人もいます。いくら記憶力が良くても、すぐ手の届くところに本や紙の資料がないとまずい、ということはあるんでしょうね。だから「近くにある収納」というのもテーマの一つ。
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教授室。華のないさみしい事務室です。金属パーテーションに囲まれて、視線も音も遮られているので、集中できる反面、助教や学生の気配は一切感じられませんね。

ということで、少なくともオフィスゾーンは、すぐれた環境があったから、すぐれた研究が生まれた、とうわけではなさそうでした。3つの部屋に分かれるオフィスゾーンだけは見通し良くした方が、活発な風通しのいい研究環境になるんじゃないの?というのが誰しもが感じる素直な感想です。
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優れた建築から優れた研究が生まれそうな施設として建築関係者が真っ先に思い浮かべる生物医学系の施設といえば、ルイス・カーンのソーク研究所。ラボは設備階付きのフレキキシビリティの高いワンルームで、この大きなワンルームの両脇に小さな家のような研究室を並べた構成です。各研究室からは海が見えます。ラボとオフィスを一体化した上で、ラボと切り離せるデスクワークと休憩部分を、この家型研究室に入れ込んだとということですかね。ソークのラボ内のスペースはどうなってんだろうと探してみたら、こちらのページにオフィス部の写真がありました。壁向きで割と普通な感じ。
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家具並べるだけならすぐできるんで、軽く描いてみます。柱割は3.2mモジュールなので、壁に向かう机の方が簡単ですが(机800+通路1600+机800=3200)、森建築士の意見を受けて、壁向きはひとまず禁じ手に。レイアウトを水島君の研究に絡める必要はありませんが、レム・コールハースがパリの図書館で提案したモデル(書架の均質空間が不定形のボイドに侵食されるモデル)のように、均等配置の机がオートファジーして、均質性を打ち破るスペースを生み出していくイメージになると、実際の空間としても面白いんじゃないかと妄想しながら描きました。
その後、人数や予算のイメージも固まって、模様替え委員が組織されるようです。うまくいくといいですね。

by iplusi | 2016-10-29 21:44 | その他いろいろ | Comments(0)
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