TOTO通信 500号
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TOTO通信の500号は、1960~1970年代の名作住宅の特集です。

表紙は、大学時代の恩師、鈴木恂先生のKIH。打ち放しというと、安藤忠雄さんを思い浮かべる方がほとんどかと思いますが、鈴木先生は安藤さんの小篠邸の10年前に、こんなコンクリートの光の建築を作っていました。

KIHは、充填された中身を取り去ったことを示す「光」と、空間の鋳型としての荒々しいコンクリートによって、目に見えない「空間」そのものを、高い純度で抽出することに成功しているように思うのですが、いかがでしょうか。

この家のアトリエ部分と住居部分を2分する中間の間仕切りは、薄いベニアでできていて、生活の変化に合わせ移動したそうです。スポイトの中の弁のように、ベニアの間仕切りが移動すると、空間そのものが大きくなったり小さくなったりするわけです。壁が動くと思ったとたん、空間が急激に意識されます。このことから考えても、やっぱり、鈴木先生は、空間そのものを取り扱おうとされたんだと思います。
by iplusi | 2013-07-16 20:21
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