要望の伝え方
いままで全部建主さんにお任せだったんですが、要望書について考えてみました。

というのも、最近はみなさんお願いしなくても要望書をつくって下さいます。が、要望書をあまりに細かく書いてしまい、それを実現すること自体が目的化してしまう傾向があるようです。設計事務所に頼むなら、自分の想像を超えたことを提案してもらわないと面白くないでしょうから、要望書は本当に実現したいことのみを書いた方が、極端に言うとテーマ一つだけくらいの方がいいような気がしています。
ということで、下記に要望書の書き方をおもいつくまま、まとめてみます。といっても、考えながら書くとりとめのない文章です。ご意見いただければ幸いです。

□家造りのテーマ
アイプラスアイ設計事務所の仕事に限って言えば、性能が高いことは、最初から織り込み済みですから、必要以上に性能面を気にされる必要はありません。機能的な平面づくりも得意とするところなので、「家事楽ハウス」的な機能面、使い勝手面の要望は、第一案が出てきてから伝えた方がいいかもしれません。

となると、伝えるべきは、「機能でも性能でもない何か」です。おそらく、それは、家族同士の関係であったり、人と自然の接し方であったり、生活=家族の諸活動についてであったりするかもしれません。カタチや材料ののことなのかもしれません。以前体験したことのある素敵な空間とか、旅行で行ったところとか、雑誌で見た家とか、知識を総動員して、家造りのテーマを考えてみてください。もちろん、正解のテーマが最初に決まってる必要はないのです。箇条書きで思いつくままに書き出していただければ、その中から一番伸びそうなテーマを最初のヒアリングの中で設計者がピックアップしていきます。今までのカツドウノイエシリーズのテーマをちょっと見てみましょう。

例1: 「西部劇にでてくるような大きな庇の家」 多摩U邸

公園に面する敷地状況、雨の日の犬の散歩の後に犬を拭くスペースの必要性、アメリカに住んでらしたという建主さんの特徴、日本の伝統的な空間がもつ深い軒・縁側、等々がイメージされる非常に良いテーマ設定です。このケースではかなり初期の段階でイメージを共有することができました。

例2: 「望楼と中庭のある平屋の家」 平塚K邸

最初に頂いたのは、「平屋の家をつくりたい」というシンプルなご要望でした。無駄なことやお金がかかることを家造りのテーマにするのは有効です。平屋、そして近所の人が年中集まってくるコミュニティがあることを与条件にして、平屋の家が持つ根本的な問題点=「家の真ん中が暗くなること」、を解決すべく、望楼をハイサイドライトにした、中庭型の構成の形態が導き出されています。少し広い範囲の普遍的なテーマを設定すると、自ずと強度の高い提案になる可能性があります。

例3: 「切妻屋根のガレージハウス」 白井T邸

この案件では、「切妻屋根が好き」というシンプルなご意見を頂きました。アイプラスアイに限って言えば、予定調和で物事が決まることが好きじゃないので、やったことがないことだとやる気が出ます。過去事例にない型式こそ依頼していただきたいんですね。
切妻屋根を美しくみせるために、耐力壁を切妻屋根の下から排除、トンネル型の構成として敷地の軸と重ね、屋根は繊細な垂木の反復パターンでみせるという方法がとられています。これも単なる好き嫌いの問題からスタートしながらも、切妻屋根がもつ象徴性になんとか結びつけようとしているわけです。

例4: 「奥行き感のある大階段の家」 杉並U邸

「その先にまだつづきがあるような奥行き感のある構成が好き」といったご要望を頂きました。光と影、空間の変化、奥行き感、死角、イラストレーターであるuさんの作風が、そのままイメージの源泉になっています。イメージを伝えるのは、言葉でも写真でも絵でも良いわけです。


□予算
あとで予算が増えたり減ったりすると、設計者は適切な予算バランスが考えられなくなります。家具、家電その他もろもろ含めた資金計画を是非お知らせ下さい。

□駐車場のあるなし
駐車場が必要かどうかは必ずお知らせ下さい。敷地が狭い場合は、車の大きさも縛りになりますので、予定している車種、最小回転半径などのデータもお知らせ下さい。

□家族構成
敷地、予算、家族構成の3つが家の規模を大きく左右します。2世帯になると途端に規模の制約が大きくなります。1世帯なら特に30坪で5人は大丈夫ですが、2世帯5人は、厳しいと思います。

□家族の特徴
家族特有のライフスタイル、時間の過ごし方、などは是非お知らせ下さい。活動の種類によって、スペースの囲み方の程度が変わってきます。

□お客さんの多さ・客間の必要性
客間要望される方多いですが、肉親が年に数回泊まる程度なら、大体なんとかなるものです。現実的に要望してください。

□必要収納量
新居で使う予定の大型家具、家電はリスト化してください。
また、必要収納量も大まかに教えて下さい。経験的に言うと、今の散らかり具合が新居でも維持されます。残念ながら、収納量はあまり関係ないです。なお、モノが多い方は、合板仕上げなどにしたら倉庫にしか見えなくなるので、白っぽい内装の家をお勧めしてます。

□好きなもの、きらいなもの
家と関係ないものでも、好きなデザインのテイストとかがわかると、家の仕上げのイメージが作りやすくなります。アイプラスアイには特に主張したいテイストはありません。むしろ建主さんの少々悪趣味な提案があった方が、設計作業は楽しめる気がします。

□屋根
屋根のある家が好きか、四角い家が好きかお知らせ下さい。また、太陽光発電、太陽熱温水器、OMソーラーなどを載せる場合は、仕組み自体が全体の形態に影響を及ぼしますのでお知らせ下さい。

□借景
家の周囲に是非生かしたいもの、生かしたい風景がある場合は、教えてください。

□層構成
いろいろ検証するので、あくまで参考ですが、LDKを設ける階と、その階に設けたい理由はお知らせ下さい。また、浴室や寝室などで、設置する階数のこだわりがある場合はお聞かせ下さい。

□洗濯問題
非常にこだわりを持った奥様が多いです。こだわると損することの方が多い気もするのですが、プランニングの大きな縛りとなりますので、早めにお知らせ下さい。

□ふとんかベッドか
小さい家で広々、多目的に使うなら、ふとんですよね。でも布団の場合収納は必要。

□家相・宗教のこだわり
家相のこだわりがある時は、要望書に書いてください。仏壇がある場合は、設置希望の方位もお願いします。

□アトピー・喘息など
材料の選定に関係するような身体的な特徴はおしえて下さい。

□要望書に記載する必要のないもの
何畳の部屋がいくつといった要望は不要です。
by iplusi | 2009-10-09 17:15 | その他いろいろ | Comments(0)
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